高野寛の十一枚目のオリジナルフルアルバム。
「第二のデビュー盤」とは本人の弁ですが、とんでもない、二十年のキャリアの経験と成長が見事に結実した逸品です。てらいのない、ポップスの王道と呼びたくなる曲の数々に躍動感あふれる演奏、批評的な視線を失わずに肯定を歌う歌詞。シンガーソングライターとして、またミュージシャンとしての成熟した姿を余すところなく見せられた思いです。デビュー二十周年を締めくくるにふさわしい傑作であり、早くも次作への期待が高まる一作。
収録曲はどれもすばらしいものばかりですが、あえて選ぶなら個人的には“LOV”“CHANGE”“明日の空”。また多彩なゲストミュージシャン、特にキーボードプレイヤーの添える彩りがアルバムのたいへん素敵なアクセントになっています。
(文中敬称略)
(MILESTONE CROWDS, UMCC 1038)